Category Archives: ブログ

2020年3月9日「あの映像があったから……(その仕事の先にあるもの)」

先日、NEC プラットフォームズさんで、出番を頂きました。
そこに行く前に、どんなお仕事をされているのかお聞きすると、NHKさんをはじめTVなんかの映像のソフトウエアなんかを創っておられる会社さんでした。

改めて考えると、カメラで撮った映像が、電波と言う見えないものを通して、僕らのお茶の間に流れているんですよね。これって凄いなぁって思いました。どうやったら、遠く離れた場所に今は8Kかなんかで、綺麗で細かい映像が送られ、モニターに再現されるのか、アホの僕にはさっぱりわかりませんが、スゴイ事だけはわかります(^^)

そんな中、講演の最後にお話させていただいていたのは、NHKさんの研修でも毎回話している事でした。

2011年3月に東北を襲った東日本大震災。
津波で多くの人が犠牲となりました。

僕の東北の仲間にNHKさんに研修に行くんだよって言ったら、ぜひお礼を伝えて欲しいって言われました。
それはあの時、同じ場所で避難していた人から聞いた話だと教えてもらいました。

その方は、あの日大きな津波がくる中、仕事をしていたのですぐに家には戻れず、津波や停電、道の崩壊などで、やっと家の近くに到着したそうです。もうそのころには日も暮れていたそうです。

高台から見た自分の家のあった場所は津波で流され、まだ水が引いていなくて町ごと水没……。
家に居た家族は……そう考えるだけで足がすくみ、頭の中は真っ白に……。

それでも、どこかの避難所に居るかも知れないと必死になって避難所を回って自分の家族を探していたそうです。

しかし、家の近くの避難所に行ってもどこにも家族は見つかりませんでした……。
もうダメかという思いと、まだどこかに居るはずだと言う思いと、もうぐちゃぐちゃだったそうです。

そして、被害から1週間ぐらいが経ったとき、自分の避難している避難所にTVが設置され、何気なく見ているとNHKの放送で、各避難所に避難されている人たちの名前が映し出されます。
ワラをもすがる思いで、その画面を見ていると自分の家族の名前が映し出されたそうです。
もうダメかとあきらめかけていたその方は、その場で泣き崩れてしまったそうです。

周りにも避難して家族と未だに会えていない人もいたし、津波で亡くなってしまた家族がおられる人も居た。だから、不用意に喜ぶことはできなかったけど、心の中で本当に良かったって思ったそうです。

その後、家族が避難しているその避難所を訪ねて家族と再会できたんだと。
そして、あの映像がなかったら、一人自分だけ残されたと思って、もしかしたら自ら命を絶って家族の元へとしていたかもしれないと。

そんな話を聞いたんだよって教えてくれました。
だから、NHKに行ったら、ぜひありがとうって伝えてねって教えてもらいました。

映像に携わる人たち、中継を行った人たち、色々な人たちのお陰であの映像が全国に流れました。
良い映像のソフトを作ればそれで終わりではなくて、その先に、自分たちが行う仕事のその先に、人の命さえ救えるような事があるんだと思います。

やっている事は、毎日同じことの繰り返し、面倒くさい事の連続かもしれないけど、そのおかげで助かる人たちがいます。

是非、皆さんが自分で選んだその仕事の先にあることを想いだしていきたいですね。

ありがとう‼

——————————————–
香取貴信 YouTube 毎週火・木曜日・土曜日 20時更新
https://www.youtube.com/channel/UChW1Yqdy_fbQiWnxiopcsPg

過去のブログはこちら
https://www.e-storybank.com/blog/

講演・セミナー・研修・執筆依頼よろしくお願いしま~す(^^♪
https://www.e-storybank.com/
——————————————–


2020年3月5日「介護や福祉は仮の姿 もう感動創造企業だよ②(他社事事例)」

昨日紹介した、山形県鶴岡にある“医療法人社団みつわ会”さんの話には続きがあるんです。
バウリニューアルウェディングから、自分たちの仕事の本質は、利用者さんを笑顔にするんだと言う事に気づいてしまったスタッフは、今度は違うところで感動を創造したんです。

場所は自分たちの施設ではなく、向かいにある病院だったんです。

その病院には中学生のころに、脳の病気になり目は開いていても意識もあまりわからず、寝たきりになっていた女の子が居たそうです。そのお母さんとお話をしていると、娘さんが来年の成人式を迎えるとのこと……。

自分の娘に本当だったら用意していた晴れ着を着させて、お友達と同じように成人式に参加させてあげたかったのに……と。

それを聞いたみつわ会のスタッフは、またまた事務長の佐藤くんの所へ

「事務長、私たちでその娘の成人式を病院でやってあげましょうよ」
「えっ、だってそこは自分達の施設じゃないし病院でしょ。
それに晴れ着なんて着せられないんじゃないの?」
「大丈夫です。私、前職美容師ですから(笑)」
「……おう。でもさ、病院がどうかだよね」
「大丈夫です。任せてください」

そう言って、そのスタッフは直接病院に掛け合います。
様々な条件はあったのですが、それを一つひとつクリアして行って、開催できることに‼
病院のスタッフも協力してくれて、紅白の幕をして、娘さんの中学生の時の同級生と担任の先生にも来てもらいやすいように時間をせってして、家族と友人と先生と娘さんの成人式を開始。

当日は、年ごろの彼女が喜んでもらえるようなネイルをきれいにしてあげて、髪の毛もきれいにセット。
お化粧はお母さんと一緒にしてあげて、最後に動かない身体をみんなの手を借りながら、お母さんが準備していた晴れ着を着せてあげました。

いよいよ成人式がはじまり、中学校の担任の先生からの祝辞があり、同級生の友達からのメッセージなど、流れてくる映像から、温かさが伝わります。

最後に娘さんの横に立ってお母さんから感謝の言葉が、涙で声を詰まらせながらも
「本当だったら、友達みんなと一緒に成人式に行かせてあげられたのに……。
でも、今日こうしてみんさんのお陰で、綺麗に着飾って成人をお祝いしてもらって、本人はわかっていないように見えますが、きっと喜んでいると思います。本当にありがとうございます」

そう言って頭を下げるお母さんの横で、ストレッチャーで横にいる娘さんの左手の指がかすかに動いていたんです。映像の中で小さく映ったその指が、ぴくっと何回か動いていたのを、見つけてそこからはもう号泣でした。

きっと伝わっているんだって思いました。
医学的には、どうかわかんないけど、僕はみつわ会のスタッフみんなの想いと、参加している両親や先生やお友達の想いが伝わっていて、彼女が小さく指を動かして“ありがとう”と伝えていたんだと思うんです。そんなみんなの想いが、映像から伝わって来て、もう嗚咽するぐらい泣いてしまいました。

自分も子供を持つ親として、娘を持つ父親として、もし自分の娘や息子たちが同じようになったら……。
それでも、みんなが想いを一つにして、作ってくれたこの成人式は、言葉では表せないくらい、嬉しいんじゃないかと思います。

勉強会の日の懇親会で、若いスタッフが言った言葉が忘れられません。

「香取さん、香取さんは、僕らの仕事を天使の志事だよねって言ってくれましたよね。
本当に嬉しかったです。
僕は、自分の志事をこう思っていつもやらしてもらっているんです。
僕らの志事は
“生きづらさを抱えている人たちに、生きる意欲を与えられる志事なんだと”」

しびれますね。

生きづらさを抱えている人たちに、生きる意欲を与える事の出来る志事。
もう、最幸です。そして、大切な事を教えてくれた、みつわ会のみんなに感謝です。

ありがとう(^^)/

——————————————–
香取貴信 YouTube 毎週火・木曜日・土曜日 20時更新
https://www.youtube.com/channel/UChW1Yqdy_fbQiWnxiopcsPg

過去のブログはこちら
https://www.e-storybank.com/blog/

講演・セミナー・研修・執筆依頼よろしくお願いしま~す(^^♪
https://www.e-storybank.com/
——————————————–


2020年3月4日「介護や福祉は仮の姿 もう感動創造企業だよ①(他社事事例)」

山形にある“医療法人社団みつわ会”という法人をご存じでしょうか?

http://mituwakai.com/

4年前に、秋田県で行われた介護協会の勉強会に、このみつわ会の介護士さんが参加してくれていました。
講演会の後に、名刺交換をして、いつか自分の法人に来てくださいって言われて、凄く嬉しかったんですよね~。そして半年ぐらい経ってからかなぁ、事務長の佐藤くんから連絡をもらって、山形県鶴岡にあるみつわ会さんの所に行って、そこで働いている人たちの勉強会をさせてもらいました。

その日の懇親会も盛り上がり、別れ際に佐藤くんたちから

「香取さん、もう一回呼びますからね‼
その時には、絶対に『お前らの法人ヤバイな』って言わせますから」

って言われて、わかった楽しみに待ってるよ~って別れたんです。

そして去年、最初にみつわ会さんに行ってから3年が経ち、もう一度呼んでくれたんです。
ただ、僕は当時の佐藤君の言葉はすっかり忘れていたんですけどねぇ……ごめん(笑)

会場はみつわ会さんの施設でした。僕が到着すると、ミ●キーとミニ●が僕を待っていてくれて、BGMもディズニーの音楽が流れてて、ウェルカムボードにも、手書きで香取さんお帰りなさいって書いてくれてて、たくさんのスタッフが僕を笑顔で迎えてくれました。

確かに3年前も凄くあっとフォームなスタッフばかりで嬉しかったんですが、今回はもっとみんなの目が活き活きしてて、なんか違っていました。迎えてくれたミ●キーとミニ●に両手を組んでもらって会議室へ

「香取さん、3年前に分かれる時に、僕が言った言葉って覚えてますか?」
「へっ⁉ 言葉?
……ごめん。全然覚えてない……」
「わかりました。そしたら、香取さんにどうしても勉強会を始める前にこのビデオを観て欲しいんですよね」
「おう、いいね‼」

そして、映し出された10分ぐらいの映像に涙腺崩壊……。

皆さんはバウリニューアルウェディングってしっていますか?

それは、結婚している夫婦がもう一度、永遠の愛を誓いあうセレモニーなんですが、映像に移しだされていたのは、利用者さんのバウリニューアルウェディングでした。

きっかけは一人のスイッチが入ったスタッフからでした。
3年前に僕が勉強会をさせてもらってからちょっと経った頃、社内の介護士さんが結婚をすることになったそうです。それをディサービスの利用者さんが聞いていたようで

「ねぇ、○○さん、今度結婚するでしょ。聞いたわよおめでとう」
「あっありがとうございます」
「結婚式はどこでするって、もうきめているの?」

「まだですけど、お金もないのでささやかにやれたらなぁって思っていまして」
「そうなの。でもいいわよね。ウェディングドレスを着るのよね」
「はい、でも貸衣装ですよ(笑)」

「いいじゃない。
私の時なんて、ウェディングドレスなんて着たくてもきれなかったんだから~。
私も一度でいいからウェディングドレス来てみたかったわよ(笑)」

そんな会話を聞いてた、一人の介護士さんが事務長の佐藤君の所に来たそうです。

「事務長、3万円くれませんか?」
「えぇぇっ どうしたの?」
「ウェディングドレス買いたいんです。今からそこら中探してウェディングドレスを買ってきます」
「ちょっとまって、何があったの?」

驚いて佐藤くんがきいてみると、その看護師さんは結婚当時ウェディングドレスを着たくても着れなかった利用者さんに着せてあげたいとの事でした。それはもう凄い熱量で、思わず佐藤くんも分かったと言って3万円を渡しました。

そのスタッフは、その日のうちに貸衣装をしているお店を一軒一軒回って、中古のウェディングドレスを3着買ってきたんです。

さぁ、ここからが大変です。

ウェディングドレスを買ってきたのはいいけど、それをただ着せても楽しくない。感動を呼ぶサービスは+1、自分のできることに足すイチすること。

彼女は佐藤君たちと一緒に考え、何かウェディングドレスを着れるようなものはできないか?と考えていると、Hawaiiで行われているバウリニューアルウェディングを思いつきました。

その利用者さまには、旦那さまも居て一緒にディサービスを利用しています。
再度愛を誓うバウリニューアルウェディングを施設でやってみてはどうかと言う事になったんです。

手作りでお金をかける事は出来ないけど、みんなで気持ちを込めて、他の利用者さんやご家族を読んで、バウリニューアルウェディングをしてあげようと準備にかかります。

デイサービスですから、そもそもお体の不自由な方々がリハビリをする施設です。その利用者さまも、旦那様の方はほとんど身体も動きません。それでもバウリニューアルウェディングに向けて、リハビリにも熱が入ります。

そして当日、そのご夫婦のバウリニューアルウェディングが心あるスタッフのもと大感動で実施されました。
参加されたご家族を代表して息子さんが感謝のメッセージを読み上げ、会場は一気に感動に包まれて大成幸でした。

更に翌年は、このウェディングに参加された別の利用者さまから、私もやりたいとの声もあがり、2回目はもっと派手にやろうってこれでもかってくらいの温かいウェディングが実施されました。

しかし、ここでスタッフが気づくんですね。
やっぱりスイッチが入っているスタッフは素晴らしいですね。

「いやぁ、今回も本当に楽しかったよね」
「うん、ほんとに利用者さんも喜んでくれてて、最幸だったよね」
「……でもさ、一番幸せを感じたのは、バウリニューアルウェディングを体験した方たちもだけど、それを実行させてもらった私たちなんじゃないかな?」
「確かに、それ私も思った‼」
「だよね~(全員)」

ここで幸せの本質に気づいたんです。
幸せは自分が何か嬉しいことをさせてもらった事も嬉しいけど、それよりも大切な人が心から喜んでいることをさせてもらっている自分たちが、最も幸せを感じているんですよね。

そこで3回目は、自分たちだけで準備をして当日行うのではなく、利用者さまにも準備から当日の運営までを手伝ってもらったらいいんじゃなかいかって事になりました。

早速、利用者さまに声をかけてみたそうです。
すると、利用者さまの中には、昔は和菓子職人だったり、オペラを歌っていた方だったり、そんな事がわかってきたので、ウェディングケーキを作ってもらったり、讃美歌の聖歌隊に入ってもらったり、利用者さまそれぞれにバウリニューアルウェディングの担当をしてもらう事になりました。

すると、人間は不思議なもので、それまで頑張ってリハビリをしても、中々腕が上がらなかった利用者さまの腕が上がるようになったり、どんどん元気になっていったそうです。
目的があったり、自分に役割があって、自分自身が誰かの役に立てる実感を持つと、人間は元気になっていくんです。

こうして、このみつわ会さんでは、利用者さんのバウリニューアルウェディングを、他の利用者さんと心あるスタッフのみんなで作り上げているんですね。

ここまでくるともう、ヤバイ法人ですよね。
彼らがやっている事は、介護や福祉と言う仕事そのものは仮の姿で、やっている事の本質は感動創造なのではないかと思いました。

「もうさ、介護や福祉は仮の姿だから、業種を感動創造業にしてしまえよ。
ほんと、お前らの法人、ヤベェな‼」

そう言って、別れました(^^♪

——————————————–
香取貴信 YouTube 毎週火・木曜日・土曜日 20時更新
https://www.youtube.com/channel/UChW1Yqdy_fbQiWnxiopcsPg

過去のブログはこちら
https://www.e-storybank.com/blog/

講演・セミナー・研修・執筆依頼よろしくお願いしま~す(^^♪
https://www.e-storybank.com/
——————————————–